オンブレ (新潮文庫)エルモア レナード 村上春樹訳
初の村上春樹である。私にとって、と言う意味でだが。
天下の村上春樹。
世代的にも村上春樹はマストの筈だが、私は一度も味わう事の無かった村上春樹作品。
その村上春樹とのファーストコンタクトがエルモア レナードのオンブレである。まあ翻訳者と言う間接的接触なのだが。
ハルキニストなる言葉もあり、ある意味で季語と化す程の天下の村上春樹の第一印象だが。
竹を割った様な性格と言う言葉がある。
後腐れなくスッパっとした真っ直ぐで陰のない様、と言う様な事を表すと思うのだが、そのスッパっと割った竹の中に、良く突かれた餅が入っている、そんな印象が村上春樹だった。
餅の弾力はあるが、味自体は薄味なのだが。
このオンブレを読んでの感想が、村上春樹訳に依るモノなのか原作者エルモア レナードに依るモノなのかは定かではないのだが。
このオンブレなる作品。
ある理由により馬車で旅する数日間に起きる出来事を綴っているのだが、スッパっとしたモノである。
スッパっとした旅を作者の腕により、味わい深くされた様な、雪見だいふくの様な作品である。ただし、雪見だいふくの方が後味がよいのだが、それはオンブレの後味が悪いと言う事ではなく、そもそもが味わい深くないと言う意味でだが。
ダシは効いているが、味噌の効いてない味噌汁の様な作品だった。
薄味と評価するか、味が無いと評価するかは人それぞれだが、村上春樹と言うダシは良く出ていたと言う意味で。
0コメント