顔が入ってくる
朝晩は秋の気配もする最近は、寝室のクーラーは切り窓を開けて寝ている。
そんな最近の朝方。
まだ外は薄暗く、それでいて空が白む、明け方とも夜明け前とも判じかねる頃。
まだ新聞屋のバイクの音も聞こえず、小鳥の囀りも耳に届かない頃。
フッと目が覚める。
目は覚めるが、まだ布団で微睡みたい欲が勝り、目を瞑ったまま目蓋を透かし通る空の雰囲気と開けた窓から滲みいる音を頼りに、今が4時か5時か後どれ位惰眠を貪れるか思案しながら、浅い二度寝の縁に浸かっていた。
不意に何かが窓から静かに入ってくる気配がし、半端反射的に惰眠の沼に浸かった片足を引っ張り上げ、意識だけ覚醒させる。
それでもまだ未練たらしく目は開けず、いつでも睡眠の泉に頭から飛びこむ準備を怠らない。
再度、目蓋を透かす明かりさと、耳に届く音を頼りに今が何時か察しながら部屋の気配を探っていると、リビングからボーンと振り子時計の時を告げる音が聞こえて来た。
我が家の振り子時計は毎時30分に鐘が一度鳴るが、時間の感覚が整わぬ時の「半」を告げる鐘の何とも無意味な事か。
今が6時半ならば飛び起きるし、4時半ならばまだまだ惰眠を貪れる。
5時半ならば後30分は寝れるなどと考えて居たらば、また何かが窓より部屋に流れ入る気配がする。
小鳥の類でも虫の類でもなく、何か雲の様な濃い蒸気の様な。
しかし、音も無く匂いもない。
それでも何かが入って来た気配が確実にし、その何かは、まだ目を瞑り往生際悪く睡魔の泉の縁で微睡む私の顔を覗き込む気配を漂わせだした。
相変わらず、音も匂いもないその何か。
煩わしさも怖さもないが、気にはなる。
いよいよ朝の訪れを受け入れる覚悟をした私の開けた目の先に見えたモノは
(`.-) 沢山のこんな顔。
(`.-)(`.-)(`.-)(`.-)(`.-)
お前らディテールが、雑!
と突っ込むと同時に鳴る、6回の鐘。
あぁ朝の貴重な30分があ·····。
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